Articles 社員インタビュー リアルタイム3D制作 スキルチェンジへの新たな扉を開く。3DCG担当者が語る、“好き”と熱意を追及できる社内プロジェクト制度の可能性

3Dコンテンツ制作会社に入ろうとお考えの人に送る、キャドセンターの業務内容や取り組みを紹介する連載が今回からスタート! 記念すべき第1回目は、リアルタイム系クリエイターで、コンテンツデザイン開発グループ リアルタイムチーム リーダー補佐の戸本岳二さんにお話しを伺いました。

好きこそものの上手なれ、とはよく言ったもので、「好き」が原動力となり、そのモチベーションが仕事の成果に昇華されることがあります。戸本さんは、まさに「好き」を原動力にキャリアを重ね続けてきました。「ゲーム好き」が高じて、リアルタイム3D技術を独学で習得。プリレンダーの制作スタッフから、リアルタイム系クリエイターへと転身を果たした戸本さんの足跡を辿りながら、スキルチェンジに至る経緯や、キャドセンターのバックアップ体制、今後の展望などを語ってもらいました。

【社員プロフィール】

戸本岳二(ともと がくじ)
2014年:株式会社キャドセンター 入社
入社後はCGアニメーション制作チームに配属となり、主に不動産の完成予想CGアニメーションを制作。
2018年:コンテンツデザイン開発グループへ異動
プリレンダーの制作スタッフから、リアルタイム系クリエイターへとスキルチェンジをし、現在では、リアルタイムレンダリングによる、動画・静止画制作、コンテンツに関わるビジュアライズ業務を行っている。
また、2019年よりX(旧:Twitter)の運用をスタートさせた。現在もメイン投稿者としてデモを公開し、さまざまな業界への情報発信を続けている。

社内プロジェクト制度がキャリアチェンジ成功の鍵

―キャドセンターには中途入社ということですが、前職までの経歴と転職のきっかけについて教えてください。

キャドセンター入社前は、主に不動産CGパース制作を手掛けていて、不動産のCGパース業界で名の知れていたキャドセンターの存在は、以前から認識していました。リアルタイムCGを使ったシミュレーションを行っていた点や、博物館に展示するコンテンツ制作をはじめ、学術的な取り組みを行っていた点にも魅力を感じ、キャドセンターへの転職を決意したんです。

―不動産CG制作の経験を積まれていたということですが、そこからリアルタイム系クリエイターへスキルチェンジしようと決意したきっかけは何だったのでしょうか。

「リアルタイム系シミュレーターの開発に携わりたい」。そう考えて転職しましたが、入社して初めに配属されたのは今までと同じ不動産CGパースを作る部署でした。そんななかで、キャドセンターには業務時間内で技術の習得や検証を行うことができる「社内プロジェクト制度」があることを知りました。もちろん独学も続けていましたが、この制度を活用させてもらいながら、少しずつリアルタイム系のスキルを身につけていったんです。

たとえばいちばん最初に行ったことのひとつが、ポーランドの画家ベクシンスキーの作品を3DCGとして再解釈したVRコンテンツの制作です。コンテンツ内容としてはVR映像なのでリアルタイムで変化するものではないのですが、不動産とは違った分野のCG制作として、2D(二次元)の絵画から想像を膨らませて3D空間を制作しました。リアルタイム系では360°の3D空間が当たり前ですが、360°コンテンツを視聴することがユーザーにどのような体験をもたらすのか、ということを考え、模索しながら作り上げていきました。

―なるほど。すでにキャリアを持ち活躍している方は新しいツールの会得やスキルチェンジに取り組む時間を作ることに苦労する方も多いようですが、社員のトライアルを支援してくれる仕組みがあるんですね。

はい、そうした取り組みを進める中で、私がCG制作に関わる大きなきっかけとなった、ゲームエンジン「Unreal Engine」のチュートリアル本が発売され話題を集めたこともあって、同ツールを使って仕事がしたい、と考えるようになったんです。そこで、プロジェクトの骨子や、プロジェクトがもたらすベネフィットをまとめ、「どうしてもやってみたいんです」と、上長に直談判しました。

―「社内プロジェクト制度」がスキルチェンジのきっかけだったんですね。

ただ、当時はまだ、プリレンダリングからリアルタイムレンダリングへと、何が何でもスキルチェンジしたい、という思いはなかったんです。シンプルに、「Unreal Engine」を使ってみたかったというのが大きいですね。同ツールはあくまでもゲームエンジンで、ゲーム以外の用途は現在ほど認知されていませんでした。そういう意味では私にとっても、キャドセンターにとっても、それを活用することは大きな “チャレンジ” だったと思います。

―プロジェクト提案が通って、最初に行った業務内容についても教えてもらえますか。

プロジェクト提案が通って、最初に行った業務内容は、プリレンダリングで制作、納品した映像を参照しながら「Unreal Engine」上で同じようなビジュアルを作る、というものでした。

事前に計算を行うプリレンダリングは、シーンが複雑になればなるほど時間がかかるもので、レンダリングコストが作業上のリスクになります。その点、リアルタイムレンダリングは計算時間が少ない。リアルタイムレンダリングの技術を不動産CGに活用することで、制作コストの削減や、スケジュールの圧縮が可能になると考えました。

―では、実際にスキルチェンジを決意するきっかけになったことは?

実際に、スキルチェンジのきっかけとなったのは、「社内プロジェクト制度」で立ち上げたプロジェクトを経て、リアルタイムレンダリングでも、プリレンダリングと同等の成果物を作れると実感したことだったと思います。納品したコンテンツに対し、お客様も満足してくれたことで、リアルタイムレンダリングでも今までと同等、あるいはそれ以上のものが作れるのだと、ますます確信しました。

―社員の “チャレンジ” に対して寛容なんですね。

そうですね。会社に利得をもたらすのであれば、どんなことにも挑戦していい、そんな風土がありますね。「社内プロジェクト制度」もそのひとつで、新しい技術で得られるベネフィットを明確にしたうえで、最終的に報告書を作り、新しい技術や知見を社内で共有していく。初めはリアルタイムレンダリングの活用に懐疑的だった社内の空気も、一つひとつ成果を積み重ねることで、少しずつ変わっていき、今では「期待されている」と感じるようになりました

「形を一つひとつ組み上げていく作業が好き」

―「Unreal Engine」がCG制作に関わる大きなきっかけになったということですが、最初に興味を持ったのはいつの頃ですか?

「Unreal Engine」にこだわったのは、好きなゲームタイトルに同ツールが使われていたという、単純な理由です。ゲームの電源を入れると、タイトルとメーカー名が表示され、そこにドーンと「Unreal Engine」のロゴが出てきて。このロゴは一体何なのだろう、と。

―好きなゲームタイトルに使われていたんですね。昔からゲーム好きだったんですか?

幼少期はプラモデルが好きでした。形を一つひとつ組み上げていく作業が好きで、その工程は、CG制作のモデリングに通ずるところがありますよね。CG空間でも、自由に形を作り上げていくのがたまらなく楽しいんです。

―確かに通じるものがありますね。CG制作にはさまざまなツールが必要になると思いますが、今の業務で使用している主なツールについて教えてください。

業務に使用しているツールは、「3ds Max」「Unreal Engine」「Twinmotion」「Adobe Photoshop」「Adobe After Effects」などが主です。

―3DCG制作をするうえでの課題について教えてもらえますか。

ビジュアライズをするために使用する「Unreal Engine」はゲームエンジンと呼ばれるものなので、どうしてもプログラム処理に関する知識がないと使いこなせないものなんです。使いやすいようなUIや日本語対応はされていますが、完全に使いこなすにはまだまだハードルが高い。今までは、プリレンダリングをするときに「3ds Max」を使っていて、ライティングや質感設定、カメラの設置をしてからレンダリングする、という流れで十分にイイ感じのグラフィックスが作れたのですが、それがなかなかそう上手くはいかないことが多くて。今も勉強を日々重ねていっています。

―ゲーム業界だけでなく、今では幅広い業種で注目を集めるリアルタイムレンダリング技術ですが、戸本さんはどのような点に可能性を感じていますか?

リアルタイムCGを使えば、我々が伝えたい情報を、文字や数字だけではなく、瞬時にわかりやすいビジュアルにして伝えられます。リアルタイムの視覚的な体験を提供できるこの技術は、今後、さらに発展していくだろうと思っています。また、メタバースや仮想空間などの領域においても、ビジュアルで伝えることの意義は大いにあって、そういう意味でも将来性のある技術だと考えています。

SNS運用とリアルタイムCGの可能性

―戸本さんは社内のSNS運用も行っているとお聞きました。具体的にどのような情報を発信しているのでしょうか。

SNS運用も「社内プロジェクト制度」を使って始めた取り組みのひとつです。社内に留まらず、さまざまな業界、クリエイターと接点を持ち続けることで、新技術を常にキャッチアップできる環境がこの会社にはあります。

―印象的だったエピソードがあれば教えていただけますか?

自社の3D都市データを、「Twinmotion」を使ってビジュアライズし、X(旧:Twitter)にアップしたところ、同ツールを提供しているEpic Gamesの方が反応してくれたことです。最終的には、Epic Gamesの技術ブログにひとつ記事を書かせていただきました。いちゲームファンとして、感無量でしたね。

ほかにも、点群と呼ばれる、地形を3Dスキャンしてデジタルデータ化したものがあります。それを「Unreal Engine」に組み込んだデモが自治体の担当者の目に留まって、「点群活用の相談にのってもらいたい」と相談をいただいたこともあります。仕事の実績だけでなく、キャドセンターはこんなことができますよ、という情報をSNSで発信することで、地域や世界の課題解決につながる可能性があるんです。

―最後に、今後取り組みたいことや目標、そしてこれからキャドセンターへの転職を考えている人へのメッセージをいただけますか。

自動生成AIが登場したことで、昔ながらの職人的なCGデザイナーが活躍するのは難しくなっていくと考えています。大切なのは、AIを取り入れながら、トータルでコンテンツ制作をマネジメントする力ではないかと思います。この会社のさまざまなサポート体制を活用しながら、そうしたスキルを磨き、体得していきたいですね。

やる気と熱意があれば、キャドセンターはそれにチャレンジする機会を与えてくれます。当社への転職を考えている方がいらっしゃるとすれば、「熱意があれば、門は開かれている」と伝えたいです。

 

「好き」をエネルギーに変え、臆することなくチャレンジし、キャドセンターでスキルチェンジを実現した戸本さん。幅広い業種から注目される3DCGで次はどんな仕掛けをしてくれるのか、今度の活躍も楽しみにしています!

戸本さんを中心に運営しているという制作部のSNSアカウントはこちらです。リアルタイム3Dを中心に最新のデモや検証動画などを投稿しているとのことなので、興味ある方はぜひフォローをお願いします!
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https://twitter.com/CCCSKB33