こんにちは、コンテンツデザイン開発グループリアルタイムチームの戸本です。
FluidFluxの導入
FluidFluxは、Unreal Engine用の水流シミュレーションアセットで、非常にリアルな水の動きや流れを表現できます。ただし、2D平面基準でシミュレーションが行われるため、現実の水害状況とは異なり、複雑な水流や洪水の進行を再現するには限界があります。
そのため、FluidFluxを使用する際には、シミュレーションが実際の水害とは異なることを理解し、体験者に事前に説明することが必要です。
最近、キャドセンターでは防災に関するコンテンツ制作の案件が増加しており、それらは主に体験者の減災意識を高めることを目的としています。水害に関するシミュレーションや教育的な要素も含まれており、その可視化手法の一つとしてFluidFluxが活用されています。FluidFluxを使用することで、水害の影響を視覚的に表現でき、体験者は水害の状況をより具体的に理解し、危機感を深めることが可能です。
アンダーパスが再現された3D空間への配置
今回のシチュエーションはアンダーパスです。
アンダーパスは鉄道や道路と立体的に交差している道路で、
その構造上、周辺の地面よりも低くなっているため、大雨の際には冠水の危険性が高い場所です。
このシーンでは、実在するアンダーパスをCGで再現したモデルデータを使用しています。
PLATEAUをベースに制作されており、再現性は非常に高いです。
現地の状況を詳細に表現することで、体験者に対し、より現実感のある体験が可能になります。
FluidFluxを適切に動作させるためには、いくつかの制約があります。
その一つに、垂直な角があるモデルが構成されたシーンでは適切な流体表現ができないという制約があります。
都市部や人工物が多いシチュエーションでは、垂直な角を持つオブジェクトが多く存在し、
そういった場所でFluidFluxを使用すると不自然な表現になることがあります。
今回のアンダーパスも垂直な角が多く、不自然な表現になっている箇所があります。
これらの現象を回避するためには、更なる検証が必要です。
臨場感を演出する為のアプローチ
質の高い体験を実現するために、さまざまな演出表現をセットアップしています。
降雨の表現や、それが地面や建物に与える影響の再現、シチュエーションに合わせた車両の配置、
水によって漂流するオブジェクトなどです。
特定の車両は水流によって影響を受ける設定にしてあり、水流によって押し流される状況が再現されています。
ただし、演出として現実とはかけ離れた状況になる場合もあり、
その点については体験者に事前に伝える必要があります。
今後もFluidFluxの検証を続け、さまざまな分野での応用方法を探っていきたいと考えています。
災害シミュレーションに限らず、水に関する動画や静止画の制作にも活用していく予定です。
FluidFluxを使うことで、これまでにないリアルでダイナミックな表現が可能となり、
さまざまな分野で新たな価値を提供できると期待しています。
今回ご紹介したコンテンツは、実際に体験することが可能です。
体験をご希望の方は、下記よりお問い合わせください。