災害時の行動パターンなどを調査するVRコンテンツ
震災などの災害時において、いかに二次災害に対処するかは非常に重要な問題です。とりわけ地震火災による被害は甚大と言われています。「市街地延焼」に対処し、「広域避難」をいかに安全かつ効率的に実現するか、今後も起こりうる震災に際し、様々な防災施策が取り組まれています。
キャドセンターは、東京大学生産技術研究所加藤孝明研究室による「地震火災避難VR(仮想現実)アプリケーション」の開発に協力しました。
「地震火災時の密集市街地」を想定し、VR空間に再現したコンテンツです。災害時における人の行動パターンや、火災までの距離と避難行動の関係性をみることができる本コンテンツは、地震火災避難シミュレーションにおける「避難行動モデル」を解明する一助となっています。
VR空間を移動し、避難経路のログを蓄積
VRゴーグルを装着した被験者は、市街地のVR空間を自由に移動することができます。
空間内には13か所の火災発生地点があり、それぞれ延焼規模を個別に設定できます。なお、移動の軌跡は記録することができ、収集したデータはGIS(地理情報システム)に取り込むことで、被験者の避難経路を地図上で表示することができます。
MAPCUBE®を利用したリアルな都市空間をVR上に再現
実際の市街地を想定している本コンテンツでは、建築物配置や道路および街区構成においてキャドセンターが提供する3D都市データ MAPCUBE® を利用し、臨場感のある体験ができるようになっています。
本コンテンツを用いた検証は、総務省消防庁消防防災科学技術研究推進制度「市街地における大規模人間行動シミュレーショ ンによる災害時に発生し得る極端現象の解明とその対処の検討」(平成26-28年度)の一環として進められました。検証結果については、以下の論文をご参考ください。
小林大吉, 加藤孝明, 河原大: VR(仮想現実)を用いた地震火災時の市街地延焼からの避難行動特性の予備的検討, 生産研究 Vol.68, No4, pp.327-330, 2016
小林大吉, 加藤孝明, 河原大, 志村秦知, 江田敏男: VR(仮想現実)を用いた地震火災時の市街地延焼からの避難行動特性, 地域安全学会論文集 No.31, 2017
※地域安全学会2017年度秋季研究発表大会にて論文奨励賞受賞